「営業ツールとしてのVR」
このタイトルを見て、あまりピンと来ていない方が多いのではないでしょうか。
VRといえば、VR用のゴーグルを購入して、家で装着してゲームをする。そんな光景を思い浮かべる方がほとんどだと思います。
ですが、VRの活用方法は、ビジネス領域においても驚くほど進んでいます。
認知度はまだまだですが、事実そうなんです。しかも、一般の消費者にとっても、それは身近な存在として使われてきています。
この記事では、様々な業界における実際の活用事例をもとに、「営業ツールとしてのVR活用方法」をご紹介していきます。
※【VRとは】
バーチャル・リアリティ(Virtual Reality)の略で、仮想現実のこと。
コンピューターなどによって、本物のように作られた仮想空間を体感できる技術のことを指す。VR技術によって作られた空間や映像を見るために、HMD(Head Mounted Display)と呼ばれる「頭部に取り付けるゴーグル」のような装置を用いることが主。HMDを装着することで、VR技術によって作り出された仮想現実を体感することが可能。
現地に行くのはもう古い?-内見はVRで-
最初にご紹介するのは、不動産におけるVRの活用事例です。
この記事を読まれている方の多くが、不動産屋で家探しをされた経験があるかと思います。
家探しをする時、ほとんどの方は「内見」をされますよね。当然だと思います。
間取りや立地など何か問題がないか、見てみないことには分からないですし、不安ですよね。
ただ、実際に現地を見て回るのは、かなり大変です。
私自身も現在住んでいるところを探すのに、かなりの数を見て回りました。その確認作業は非常に辛いものがありましたし、1日に回れるのもせいぜい2~3件といったところでした。
このような移動の手間は内見につきものですが、これがVRを活用することによって解消されています。
ナーブ株式会社では、VR技術の活用によって「VR内見」を可能にしました。※1
これにより、わざわざ現地まで行かずとも、不動産会社に訪れさえすれば、様々な物件の内見が可能となりました。
従来は、内見するとしても1日3件程度が限界だったところ、VR内見では数分で10件近くもの内覧が可能となります。
また、現地を回るコストは、不動産業者にとっても同じです。移動における時間などのコストを削減することは、その分より多くの顧客対応も可能となるでしょう。
このVR内見は、賃貸に限ったことではありません。
新築や中古物件などの購入においても、有効活用されています。
工事完成後の物件をVRによって確認でき、家具の配置イメージなども見ることができます。さらには、物件の中身だけでなく、外観や周辺の道路状況なども含めて総合的に確認することができます。※2
「VR内見」は、ただ移動の手間を減らすだけでなく、よりリアルに物件の情報を得ることができます。賃貸の借主や物件購入者にとって、大きな判断材料となるでしょう。
※1参考情報:「VR内見」が不動産業界にもたらした衝撃
URL:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55606
※2参考情報:不動産VR
日本にいながら世界旅行へ-観光とVR-
次の活用事例は、「観光」です。
池袋にあるVR体験施設「FIRST AIRLINES」では、「本物の航空体験をお届け」という触れ込みで、VR体験を提供しています。※3
「世界初のバーチャル航空施設」というフレーズに違わないサービスが用意されています。ニューヨークやパリなど様々な国のアクティビティを楽しむことができ、機内食までもついています。。しかも、用意されている座席は実際のファーストクラスで利用されていたものですし、元ファーストクラスのクルー監修による「キャビン・アテンダント」までもがついています。
「FIRST AIRLINES」のサービスは、とてもユニークなVR活用事例です。
ですが、観光におけるVRの活用はまだあります。
それは「外国からの日本に来る観光客」に向けたVRの活用です。
この活用事例は「国土交通省 観光庁」によって進められており、「最先端ICT(VR/AR等)を活用した観光地コンテンツ活用に向けたナレッジ集」に記載されています。※4
その資料の中では、「旅前・旅中・旅後」の3つのフェーズ、それぞれにおいて活用方法が示されています。
旅前
海外の旅行博など現地のイベントで、訪日前の外国人に向けてVRコンテンツを提供し、日本への観光意欲を喚起する狙いがあります。
具体的には、日本の観光地の映像を提供したり、阿波踊りの様子をリアルタイムで中継したりといった活用例が挙げられています。
阿波踊りの活用例では、リアルタイム中継かつメインロードにカメラが設置されています。現地でも体験が難しい絶好のポジションで、臨場感ある映像を見ることができます。
旅中
訪日後にハブとなる空港や主要駅などの拠点で、観光地の映像をVRを通して提供することにより、地方への誘客を促進します、
他には、普段は立ち入ることができない文化財や建造物などを再現することで、現地体験の付加価値の向上が期待されます。
実際の活用事例としては、通常は立ち入ることのできない「京都タワー」の点検スペースからのバンジー体験。
また、佐賀県の名護屋城では、当時の風景をVRにより再現。これにより、様々な視点から当時の様子を閲覧することができます。
旅後
訪れた観光地の情報をVRコンテンツで保存・閲覧することで、「また日本を訪れたい」
という気持ちを喚起するとともに、家族や友人など周囲の人間への訪日意欲をかき立てる狙いがあります。
現地で体験したコンテンツを動画にまとめ、お土産として持ち帰れるよう「映像を見られるヘッドセット」と一緒にを提供します。この動画コンテンツには、日本の四季や食事、温泉の様子などが収められており、現地の体験をVRによって再び体感することが可能。また、日本を訪れた本人だけでなく、友人や家族とも共有することができます。
このように、観光業界では日本から世界へ、世界から日本へと、国内外にそれぞれに向けてVRが活用されています。
※3参考記事:
URL: https://firstairlines.jp/
※4参考記事:
URL:https://www.mlit.go.jp/common/001279556.pdf
買い物も体験へ-ショッピングとVR-
最後にご紹介するのは、「ショッピング」におけるVRの活用事例です。
まずご紹介するのは、米国の大手スーパーマーケットチェーン「ウォルマート」の活用事例です。
ウォルマートとVRというと、トレーニングにおける導入事例を連想される方も多いのではないでしょうか。
しかし、今回ご紹介するのはトレーニングではありません。一般の消費者が利用するショッピングにおける活用方法です。※5
この活用方法が明らかになったのは、ウォルマートが「バーチャル・リテール・ショールーム・システム」という名称で、特許申請をしたことからです。※6
このシステムでは、顧客がヘッドセットとグローブを装着して「3Dのウォルマートストア 」に入店します。顧客は自宅からでも、この3Dストア内を自由に歩き回ることができ、商品を手に取ることもでき、もちろん購入も可能です。購入したい商品は、すぐに配送センターから出荷されます。
ウォルマートは、2018年2月に「Spatialand」というVRアプリ開発のスタートアップ企業も買収しています。この買収からも分かる通り、ウォルマートはVRによるネットショッピング体験をさらに加速させていっています。※7
ショッピングにおけるVR活用の事例は、他にもあります。
インターネットオークションにおいて、世界最多の利用者を持つアメリカのグローバルEC企業「ebay(イーベイ)」は、オーストラリアの百貨店チェーン「Myer(マイヤー)」と提携し、世界初のVR百貨店を立ち上げました。※8
顧客は、VR百貨店用に設計されたヘッドセットを装着する。このヘッドセットを通して、Myer(マイヤー)で取り扱われている様々な商品を3Dで閲覧することが可能に。
顧客は、3D空間内で視線を動かすことにより、空間内に点在する数多くの商品を閲覧できます。気になる商品に視線を固定すれば、その商品情報が表示され、欲しい商品は「ebayアプリ」を利用して簡単に購入できるようになっています。
3D映像であるため、全体のデザインなどをより精緻に確認することができます。さらには、在庫情報や価格などがリアルタイムで更新されるシステムとなっており、顧客は常に最新の情報を得られる仕様となっています。
以上がショッピングにおけるVRの事例でした。2D画像を見て購買判断する時代から、本物同様に再現された3D映像を見て、購買判断する時代がきています。
※5参考記事:自宅にいながら店舗を歩く ウォルマート、VRショッピングに関する特許申請
URL:https://www.moguravr.com/walmart-vr-shopping-system-patent/
※6参考記事:United States Patent and Trademark Office
URL:https://pdfaiw.uspto.gov/.aiw?docid=20180232800&PageNum=1&IDKey=747D6276F2BF&HomeUrl
※7参考記事: ウォルマート、VRスタートアップを買収 新しいECの可能性を追求
URL: https://www.moguravr.com/walmart-vr/
※8: eBay、世界初のVR百貨店開店
URL: https://ecnomikata.com/ecnews/9189/
まとめ【VR×ビジネス-消費は体感へ-】
ここまで、ビジネス領域において、営業ツールとしてのVR活用事例についてご紹介してきました。
思っていたよりもずっと身近で、かつ興味深い活用事例だったように思います。
ご紹介してきましたように、これからの消費はただ「購入する」のではなく、「体感する」時代へと移っていきます。この体感が、消費にどこまでの付加価値をもたらすかは、各業界ひいては各企業とVR技術の連携に期待したいところです。
ただ、不動産にしろ、観光にしろ、ショッピングにしろ、すでにVR技術が活用されていることは事実です。ウォルマートのように、VRを営業ツールとして活かしていく動きは、今後ますます加速していくでしょう。
VRの営業ツールとしての活用について、本記事が少しでも参考になりましたら幸いです。
最後に、営業ツールとしての活用やビジネスにおけるVRの制作・導入は、より高品質で効果的な利用のために、専門家に依頼するのが良いでしょう。
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