皆さん、VRと聞くと何をイメージされますでしょうか。
恐らくゲームを想像される方が多いと思います。2017年に発売された「バイオハザード7」は、VRによる臨場感と恐怖感からとても話題となりました。まさにVRゲームの代表と言えるでしょう。
バイオハザードを始めとして、その他にも様々なVRゲームが出たことで、「VR=ゲーム」と連想される方が多いのではないでしょうか。
もちろんVRにおいて、そういったゲーム関連に起因するアミューズメント系の勢いはまだまだあります。ですが、VRの活用はアミューズメント領域にとどまりません。
現在はBtoB、つまり企業やビジネス領域においても活用方法が増えてきています。
この記事では、
・そもそもVRとは何か。
・社内教育におけるVR活用方法とその事例
・VRを社内教育に活用するメリット
このようなことをご紹介していきます。
VRとは
はじめに、VRについて簡単にご説明します。すでにご存知の方は、読み飛ばして頂いて問題ありません。
VRとは、バーチャル・リアリティ(Virtual Reality)の略で、仮想現実のことを言います。
コンピューターなどによって、本物のように作られた仮想空間を体感できる技術のことです。
VR技術によって作られた空間や映像を見るために、HMD(Head Mounted Display)と呼ばれる「頭部に取り付けるゴーグル」のような装置を用いることが主ですね。HMDを装着することで、VR技術によって作り出された様々な仮想現実を体感することができます。
例えば、世界の観光地をまるでその場にいるかのように体感できたり、VRゲームなどではそのゲームの世界に入り込んだような「没入感」を味わうことができます。
社内教育におけるVR活用方法とその事例
では、具体的にビジネスの分野において、このVRがどのように活用されているのでしょうか。
実際の事例を交えて、活用方法についてご紹介していきます。
VR活用方法
現在、活用方法として活発なのは「教育・研修・訓練」などトレーニングの分野です。
これらは特定の業界ではありません。どの企業にとっても教育や研修は切り離せないもので、その分野においてVRがとても有効に活用されています。
具体的には、以下のような場面で活用されています。
- 遠隔地にいる人間の教育や研修
- 航空関連のシミュレーション
- コンビニやスーパーなど小売業の接客研修
- 医療における手術の研修
- 介護業の訓練
- 営業時の商品説明にVRを活用
- VRによる社内や工場見学
一部トレーニング以外の場面もありますが、いずれにしてもVRは現在、様々な場面で活用されています。では、次に業界毎に実際の活用例を一部ご紹介します。
小売業界
小売業におけるVR活用例としては、「ウォルマート」が非常に有名です。
米国の大手スーパーマーケットチェーンの「ウォルマート」は、社内の接客研修や訓練にVRを用いたトレーニングを導入しました。
ウォルマートのVRトレーニング活用事例は以下の通りです。
・様々な状況への精度の高い対応訓練。
・様々な状況への対応テストをし、適切な人事評価の実施。
まず「様々な状況への精度の高い対応訓練」です。
VRで映し出される360度映像の中には、様々な状況が再現されます。
動きの悪い従業員への指導、怒っている顧客への対処、年に一度の「ブラックフライデー」と呼ばれる大型商戦での対応など、日常的な対応研修から頻度の少ない状況への対応訓練と幅広い状況へのトレーニングがVRにより可能になります。
このVRトレーニングを実施したことの報告として、通常のトレーニングより30%もトレーニング実施者の満足度が向上したそうです。さらにVRトレーニングを実施した従業員の約70%は、VRトレーニングを実施せず他のトレーニングを行った従業員と比べて、パフォーマンスの向上も確認できたと言われています。
次に「様々な状況への対応テストをし、適切な人事評価の実施」ですが、こちらは優秀なマネージャーを選出する上で、昇進や人事評価テストをするための活用です。
「様々な状況への対応訓練」と重複しますが、動きの悪い従業員へどのように指導するか、怒っている顧客へ適切な対応ができるか、あえて異常がある陳列棚を映して、それを正しい状態に戻せるかなど、テスト対象者の対応を確認し評価しています。
このVRを用いた評価制度によりマネージャーを選出したことで、労務費を削減できたとの報告も上がっています。
以上のように、ウォルマートではVRを質の高いトレーニングや優秀なマネージャーの選出に活用しています。
航空業界
次にご紹介するのは、航空業界におけるVRの活用事例です。
日本を代表する航空会社ANAとJALでVRが導入されています。
航空業界におけるVR活用事例は以下の通りです。
・客室乗務員の育成と災害時訓練。
・航空機を牽引する車両の運転訓練。
ANAでは、VRを活用して火災などの緊急時への訓練を実施しています。また、緊急時の対応だけでなく、通常の安全確認作業においてもVRを用いて訓練を行っています。VRによりあらゆる訓練を繰り返し実施できるため、業務手順や対応方法などの定着が効果として挙げられています。
JALでは、航空機を牽引する牽引車の運転訓練をVRで行っています。雨や雪など気象条件を設定できるため、様々な状況を想定しての運転訓練が可能となっています。
以上のように、航空業界では日常の業務研修から災害など緊急時における訓練にVR技術が活用されています。
医療業界
3つ目にご紹介するのが医療業界です。
医療業界におけるVR活用は、手術などの研修からPTSDなどの精神疾患への治療効果も期待されています。
医療業界での活用事例は以下の通りです。
・医療研修や事前シミュレーション。
・精神疾患への治療。
医療業界におけるVR活用として、まず挙げられるのが「医療研修や事前シミュレーション」です。
新人医師への研修として、診察や手術、緊急医療などの体験がVRにより可能です。手術では、ベテラン医師による実際の手術をVRを通して学ぶことができます。また、VRを活用することで、事前に手術のシミュレーションをリアルに行うことができます。
手術を行うメンバーで「誰が何をするか」といった手術時の行動を確認し、より手術精度を高めることが期待されています。
他には「精神疾患への治療」にもVRは活用されています。PTSDやうつ病などは自分の過去の体験やトラウマが原因となっていることが多いと言われています。VRにより原因となっている過去の体験を作り出し、それと向き合い克服することで病を治療していきます
実際、イラク戦争を経験しPTSDに苦しんでいた兵士を対象に、VRを用いて治療を行ったところ、2000人以上で改善効果を確認することができとの報告があります。
以上のように、医療業界においては手術などの現場研修に加え、精神疾患などの難しい病への治療にもVRは活用されています。
VR社内教育に活用するメリット
ここまで実際のVR活用方法とその事例について、ご紹介してきました。
ですが、小売業はともかく、航空業界や医療業界は特殊でもあるため、なかなか一般的な企業において同じようにVR活用を落とし込むのは難しいでしょう。
そこでここからは、どの企業においても切り離せない「社内教育におけるVR活用のメリット」を書いていきます。
質の高いトレーニングができる
これについては活用方法と事例にも書いてきましたので、言わずもがなかと思います。
VRは仮想空間を作り出せるため、普段では経験できないような事態や特殊な状況を再現することができます。
これにより、あらゆる状況への対応方法を学び、繰り返し研修することでいかなる状況であっても適切に対応することができるようになります。
ウォルマートの例のように日常的な顧客対応において、様々な状況を想定してリアルにトレーニングを行えるのは大きな利点ですし、どの業界においてもこのトレーニング手法は活かせるでしょう。
コスト削減が期待できる
第2のメリットとしては、「コスト削減ができる」ことです。
VRトレーニングでは以下のような特徴が挙げられます。
・遠隔地のトレーニングも可能なため、移動に関わる費用や時間のコストが発生しない。
・VRのトレーニングでは講師が不要なめ、トレーナーに関するコストが発生しない。
従来のトレーニングでは何かとコストが発生します。遠隔地でのトレーニングであれば、現地に行く際の交通費や宿泊費、それに付随する時間がコストとして発生します。
加えて、トレーニング実施には当然指導するトレーナーの存在が必要ですが、そこにも費用はかかってきます。外部トレーナーを雇っているなら委託費用が発生しますし、社内の人間で実施するとしても、トレーニングにかかる時間がやはりコストとなります。
VRトレーニングでは、上記のような教育やトレーニングにかかるコストを削減することができます。
もちろんVR導入による一時的な費用は発生しますが、中長期的に見ればVR導入費用よりもコスト削減額の方が大きいことは明らかです。
まとめ
- 様々な仮想空間を作り出せるのがVR技術。
- ビジネスでは、トレーニングへのVR活用が積極的。
- VR導入により、質の高いトレーニングとコスト削減が図れる。
いかがでしたでしょうか。今現在、ビジネスにおけるVRの活用方法と事例をご紹介しました。
この記事でもご紹介したように、教育や訓練などトレーニング関連へのVR活用は目覚ましいものがあります。
これまでの教育や研修では、感覚的な部分や実際に体験することが難しいものもありました。
それがVRの登場により、様々なケースの研修をリアルに経験することができるようになりました。
「教育・研修の精度向上」と「それに付随するコストの削減」、これを同時に行えるのがVRの大きな利点です。
今回ご紹介した事例だけでなく、不動産の内見やショッピング、スポーツや音楽といった分野でもVRの活用方法が生まれています。加えて、5G による通信の高速化も相まって、今後もVR業界の発展はさらに期待できるでしょう。VRの活用方法について、少しでも本記事が参考になりましたら幸いです。
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