今、工場見学や社内見学のあり方が変わってきていることをご存知でしょうか。
工場見学と聞くと、工場の案内担当者が先導しつつ、工場内のシステムや各種施設について解説していく。そのような姿を思い浮かべられますよね。その光景は、社内見学においても同じでしょう。
誰もが浮かべるありふれた見学が今、変わってきています。
・わざわざ工場や会社に出向いての見学。
・誰かが案内しながら見て回る見学。
そのようなよくある見学から、新しい時代の見学がすでに始まっています。
その名も「VR見学」です。
仮想体験ができるVR技術を用いて、見学は単に「見て回るもの」から、「体感するもの」へと変わってきています。
この「VR見学」は、すでに様々な企業において実施されています。
本記事では、
・VR見学を導入するメリット
・工場見学におけるVR活用事例
・社内見学におけるVR活用事例
上記について、ご紹介していきます。
※【VRとは】
バーチャル・リアリティ(Virtual Reality)の略で、仮想現実のこと。
コンピューターなどによって、本物のように作られた仮想空間を体感できる技術のことを指す。VR技術によって作られた空間や映像を見るために、HMD(Head Mounted Display)と呼ばれる「頭部に取り付けるゴーグル」のような装置を用いることが主。HMDを装着することで、VR技術によって作り出された仮想現実を体感することが可能。
VR見学の導入メリットとは
そもそも、なぜ工場や社内見学は実施されるのでしょうか。
工場・社内見学の目的は、地域貢献や自社の宣伝、求職者に向けてのアピールなど様々です。
特に求職者に向けてのアピールは、見学を実施する目的の中でも大きな意味を持つのではないでしょうか。
なぜなら、アピールを受ける側の求職者にとって、
「自分が働く場所がどのようなところか」
「どのような雰囲気なのだろうか」
上記のようなことが気になるでしょう。
こうした目的やニーズを踏まえて、「VR見学」を導入することのメリットは何でしょうか。
結論から申し上げると、大きく分けて2つのメリットがあります。
1つ目は、現地に出向く必要がないこと。
2つ目は、その場所で働く姿をリアルに想像できる。
順番に解説していきます。
1.現地に出向く必要がない
1つ目の「現地に出向く必要がない」とはどういうことでしょうか。
冒頭でも書きましたように、工場にしろ社内にしろ、見学といえば「現地に行く」ことが必要ですよね。
「何を当たり前のことを」と思われたかもしれません。しかし、今やその当たり前が変わってきています。
VR見学では、現地まで出向く必要がないのです。企業のホームページなどに、VRで撮影された映像が公開しています。HMDのような専用ゴーグルを持っていれば、VR特有の没入感とともに、現地にいるような見学体験を得ることができます。
そして、「見学者が現地に行かなくても良い」ということは、同時に「案内担当者も必要ない」ということです。
これはVRにおいて、よく挙げられる強みの1つです。見学にはつきものだった案内担当者が不要になることで、その分の人件費や時間的なコストを削減できます。
現地に出向かずとも、自宅にいながら見学できてしまう。
同時に、不要な人的コストの削減も可能。
これがVR見学の1つ目のメリットです。
2.その場所で働く姿をリアルに想像できる
2つ目のメリットが「その場所で働く姿をリアルに想像できる」ことです。
繰り返しになりますが、見学の目的の1つに求職者へのアピールがあります。特に社内見学では、この目的のために実施しているという側面が強いでしょう。
求職者にアピールし、採用へと繋げるためには、求職者自身が「その会社で働いている姿」をリアルに想像してもらうことが大事ですよね。
その想像がリアルであればあるほど、求職者はその会社に応募する意欲は高まりますし、ひいては採用へと繋がっていきます。
働く姿をイメージしてもらうためにも、工場見学や社内見学で働く現場を見てもらうことは有効でしょう。
ですが、現実は工場見学に行っても、工場の稼働がストップしていることはよくあります。また、工場内を見学できても一部だけだったり、場所によっては立ち入り禁止区域があったりと、その全貌を見ることはなかなかできません。
社内見学も同様です。実際に社内を見られるとしても、それは内定が決まった後というのがほとんどだと思います。実際に働く場所、働いている人達の雰囲気を事前に見ることは難しいでしょう。
ですが、VR見学では、工場や社内の人達が実際に動いている姿を見ることが可能です。
映像内に立ち入り禁止区域はないですし、工場や会社などを360度映像で見学できます。工場が稼働している姿、実際に働いている人達の様々な姿。
それらをリアルな映像とともに見学することができます。
画像では見えてこないリアルな映像の体感。求職者であれば、その場所で働くイメージをより強く持つことができるのではないでしょうか。
VRの没入感が可能にする「自分がその場所、その会社で働くリアルな想像」。
これがVR見学の2つ目のメリットです。
自宅にいながら工場へ-VR工場見学-
VR見学を導入するメリットについて、お伝えしてきました。
ここからは実際に工場見学や社内見学で導入されている、VR活用事例をご紹介していきます。
まずは工場見学におけるVR活用例です。
1.カゴメトマトジュース
実際の活用例として、カゴメトマトジュースの工場見学でVRが導入されています。
カゴメトマトジュースのホームページ上で、公開されている工場見学の映像です。※1
この映像をVRで楽しむためには、「VRスコープ」という機器が必要になります。
スマートフォンをセットするだけで、VR映像を楽しめる機器です。
※VRスコープを使用しなくても、映像自体はPCなどで視聴することができます。
約3分でまとめられているカゴメトマトジュースのVR動画。
トマトが栽培されている畑の上空から、その映像は始まります。
農家の方にトマトが収穫され、工場に届けられます。そこから工場内に画面が切り替わり、トマトがジュースになるまでの映像が流れていきます。
最終的に、でき上がったトマトジュースは、トラックに載せられ出荷されていきます。
トマトジュースができるまでの一連の流れが、実際の映像とともに分かります。
VRならではの360度映像により、畑や工場などを様々な角度から見ることが可能。
さらに、映像内の空中にはクイズが浮かんでいたりと、VRならではのクイズの出し方で、飽きさせないように工夫されています。
2.ブリヂストン
ブリヂストンの那須工場では、2018年2月よりVRで「タイヤ製造を視覚体験できるコーナー」を運用開始しています。※2
那須工場では元々2016年より「魅せる工場見学」活動が進んでいたそうです。
その活動の一環として導入されたのが、VRシステムを用いた「タイヤ製造の疑似体験」。
このVRコーナーでは、一瞬にして仮想の工場内にワープし、そこからタイヤ製造体験が始まります。タイヤの部材を貼り合わせたりと、実際のタイヤ製造の各工程を疑似体験できるのが魅力。
最後には、「自分が作ったタイヤを装着したバイク」で、走り去っていく動画も楽しむことができます
工場内に入り込むことができ、製造工程を見られる。これはカゴメトマトジュースの動画と同様ですが、製造体験までできるのはブリヂストンならではのVR体験でしょう。
※1参考記事:カゴメトマトジュース バーチャル工場見学
URL: https://www.kagome.co.jp/vr-factory/tomatojuice/
※2参考記事: ブリヂストン初 那須工場で見学者向けタイヤ製造VR(バーチャルリアリティ)の運用開始
URL: https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2018031501.html
働くイメージをリアルに-VR社内見学-
次に社内見学におけるVR活用事例をご紹介していきます。
やはり採用関係で、求職者に向けて制作されている映像が多いですね。
1.KATCHネットワーク
愛知県のケーブルテレビ局「KATCHネットワーク」では、「VRオフィスツアー」と題して社内見学にVRがふんだんに活用されています。※3
全5つのVR動画が用意されています。
社内のオフィス環境を紹介する動画から、食堂の紹介動画、テレビ局ならではの番組制作の裏側を映した動画など、様々な映像が公開されています。
流れていく映像は、自分の好きな角度に動かすことができます。
撮影している案内担当者の表情や会話している雰囲気など、通常の動画撮影では見ることができない様々な角度から、映像を見ることができます。
一方的に流れていく映像よりも、会社の雰囲気や働くイメージをつかみやすいのではないでしょうか。
こちらの映像も、カゴメトマトジュースと同様にyoutubeで公開されている映像ですので、VRスコープを使用して、VR映像を楽しむことができます。
2.つばめ急便
運送会社の株式会社つばめ急便では、ホームページの採用情報にて「360度映像の会社紹介ムービー」を公開しています。※4
求職者に向けて、オフィス内の様子や物流拠点内の様子などを紹介しています。
社員の方が案内担当者として、会社内の様々な場所や物流拠点内を回りながら、つばめ急便の仕事内容とともに会社について紹介していく、という内容になっています。
普段、社員の方々が事務作業をしているオフィス、食事をしている部屋、広々とした物流拠点や実際に荷物を積載している様子。
会社の人達が実際に働いているオフィスや施設を、文字通り「360度」見渡すことができます。
そのため、画像で見るよりもずっとリアルに、その場所で働くイメージを抱けるのではないでしょうか。
※3参考記事:KATCHネットワーク オフィスツアー
URL: https://www.katch.co.jp/ex/recruit2021/company/vr/
※4参考記事:つばめ急便 採用情報
URL: http://www.tsubamekyuubin.co.jp/recruit/index.html
まとめ【VRで魅力的な体感見学を】
工場や社内見学におけるVRの活用事例について、ご紹介してきました。
VR見学は、従来の見学スタイルとは異なります。
自宅からその場にいるかのように。そして、「見る」から「体感」へ。
それが新しい時代の見学です。
このVR見学は、様々な場面で活用できます。
工場見学用のVR動画であれば、単なる工場内の紹介にとどまりません。
展示会・見本市や就職フェアーなど、多くのシーンにおいて活用効果が期待できます。
社内見学用のVR動画も同様です。
本記事でご紹介したように、求職者に向けた会社説明としての活用、合同説明会など就職フェアーでの利用が挙げられます。
特に就職フェアーで活用すれば、就活生にとても強いインパクトを与えることができるでしょう。
また、本記事を通して、お気づきになられた方もいるのではないでしょうか。
VR見学は、Youtubeで公開されている動画がほとんどです。
カゴメトマトジュースの実例でもご紹介したように、スマートフォンをセットして使用する「VRスコープ」で、VR映像を視聴できます。
「VRスコープ」の最大の利点は、安価であることです。
オンラインショップなどでは、本格的なHMDは数万円する物が多いですが、VRスコープであれば3,000円程度で販売されています。
世間のイメージとして、VR映像を見るにはお金がかかる。その意識は、まだまだ根強いでしょう。
ですが、実際にはVRスコープのように、手軽にVR映像を楽しむ時代がすでにきています。
この先、VR映像が手軽に楽しめるという認識は、さらに広まっていくことでしょう。
そうなれば、今は目新しいVR見学も、近いうちに当たり前になっていくのではないでしょうか。
本記事が、少しでもVR見学の参考になりましたら幸いです。
最後に、工場見学や社内見学におけるVRの制作・導入は、より高品質で効果的な利用のために、専門家に依頼するのが良いでしょう。
ロマンテックジャパンは、高品質・低価格で、BtoB向けのVR制作・導入を行っています。工場見学や社内見学におけるVR制作・導入の際は、ぜひロマンテックジャパンまでご依頼ください。