“VRと水族館”。この言葉が並ぶことに、違和感を感じませんか。
それもそのはずです。VRといえば、ゲームを想像される人がほとんどでしょう。
実際、ゲーム界隈におけるVR技術の発展は、目覚ましいものがあります。
ですが、今やVRの発展はゲーム業界にとどまりません。
ショッピングや不動産、観光などの様々な業界にて活用が進んでおり、今回ご紹介する“水族館”もその一つです。
一見すると、何の関係もないように感じられるVRと水族館。
しかし、水族館の集客やプロモーションにおいて、VR技術が活用されています。
本記事では、“水族館におけるVR技術の活用事例“とともに、今後ますます活用が期待される“VRコンテンツの有用性”についてご紹介していきます。
本記事は、水族館の広報関係者や企業の広報関係者の方に向けて、
・水族館へのVR導入効果
・水族館におけるVR活用事例
を述べていきます。
水族館へのVR導入効果
“水族館へVR技術を導入することで、どのような効果があるのか“。
初めに、この点について触れたいと思います。
結論から申し上げますと、“集客効果の向上”が期待できます。
VR技術によって、いかにして集客効果を向上できるのか。
その前に、そもそもVR技術とはどのようなものかについて解説します。
VRとは、バーチャル・リアリティ(Virtual Reality)の略で、仮想現実のことを指します。
コンピューターなどによって、本物のように作られた仮想空間を体感できる技術。
VR技術によって作られた空間や映像を見るために、HMD(Head Mounted Display)と呼ばれる「頭部に取り付けるゴーグル」のような装置を用いることが主。HMDを装着することで、VR技術によって作り出された仮想現実を体感することが可能になります。
360度映像と呼ばれる“自分の思うままに周囲を見渡せる映像”。
遠く離れた場所であっても、まるでその場にいるかのような“没入感”。
こうした“体感型の映像コンテンツがVR技術”の大きな特徴です。
このVR技術の特徴を踏まえて、水族館では下記のような導入事例があります。
・体感型映像やゲームイベント
・360度映像を用いたプロモーション映像
導入事例の詳細は後述しますが、VR技術を導入することで、“鑑賞から体感”へと水族館の娯楽性を広げています。
360度映像によって作り出された映像により、まるで水槽の中にいるかのようなリアルな映像を体感することができます。
このように、これまでは“ただ鑑賞するだけ”が主だった水族館に、“体感という付加価値”が加わっています。この付加価値は他施設との差別化に繋がり、ひいては水族館の集客効果に寄与します。
次では、水族館における実際のVR活用事例について、ご紹介します。
水族館での導入事例
ここでは、主に3つの水族館におけるVR活用事例をご紹介いたします。
ご紹介する水族館は、下記の3つです。
1.サンシャイン水族館
2.八景島シーパラダイス
3.須磨水族館
順番にご紹介していきます。
サンシャイン水族館
最初にご紹介する活用事例が「サンシャイン水族館」です。※1
「超没入型ギャラリー さかなクンと秘密のラボ in サンシャイン水族館」と題して、VR技術を用いた“体験型の展示イベント”を行っています。
画家やイラストレーターとしても活躍する「さかなクン」とのコラボレーションイベントです。
「さかなクンが描くお魚イラストを、体験型の展示空間と大パノラマのVR海中探索を通して楽しむ“超没入型ギャラリー”」との触れ込みです。
VR海中探索では、VR技術がふんだんに活用されています。
VR技術で作られた海中を、探索できる没入感。現れる魚をじっと見つめて観察すると、さかなクンが解説してくれる仕掛け。
このような仕掛けや360度映像は、VR技術を用いたコンテンツならではの面白さでしょう。
水族館は、鑑賞するだけのものから、体感するものへと移行していることが分かる活用事例です。
八景島シーパラダイス
次にご紹介するのは「八景島シーパラダイス」です。※2
日本財団が主導する「海と日本プロジェクト」の企画に、「Virtual Ocean Project」の活動があります。
「Virtual Ocean Project」について、公式Webサイトには下記の通り記載されています。
“「Virtual Ocean Project」とは最新のIT技術と水中ドローンを用いて新しい海洋VRコンテンツを世界に発信するプロジェクトです。VRコンテンツ体験を通して、海の素晴らしさと、今起こっている問題について幅広い世代へ伝えていきます。“
参考記事:Virtual Ocean Project
上記の通り“VRコンテンツを活用して、海の魅力を伝えていく”ことを目的としているプロジェクトです。このプロジェクトの第2回目の活動が、今回ご紹介する八景島シーパラダイスでの活用事例です。
通常時は、海洋調査や水中構造物の検査、水資源のモニタリングなどに利用されている水中ドローンをこの活動用にカスタマイズ。
360度カメラを搭載し、水族館の水槽内を撮影。360度カメラによる全方位映像を撮影し、VR映像とリンクさせることで、リアルタイムで水中映像を体感することが可能です。
体験者は専用の搭乗機に乗ることで、まるで本当に水中ドローンに乗り込んだような没入感を味わえます。
さらに、水中ドローンは体験者自身で操作できるため、様々な角度から自由に映像を見ることが可能。
加えて、この水中ドローンからの映像は、Youtubeを通して世界中のユーザーも鑑賞することができます。
※イベントは終了していますが、Youtube映像は現在も視聴できます。
本来は海洋調査などに使用されている水中ドローンを、VRコンテンツに流用するという発想の面白さが、この活用事例にはあります。
VRコンテンツを作成するというと、難しいのではと思われる方が多いと思います。
ですが、この活用事例のように、別目的で使用していた機器を組み合わせたりと、VRコンテンツの作成ハードルは、これまでよりも低くなってきています。
須磨水族園
最後にご紹介するのが“須磨水族園”の活用事例です。
「スマスイで新感覚体験 最新テクノロジーで水中世界を楽しもう!!『未来水族感』」という夏休みイベントが2017年に行われました。
このイベントでは、「VRによる体験型ゲーム」と「360度の水中映像」、2つのVRコンテンツが展開されました。
※2020年4月10日現在、本イベントはすでに終了しています。
「VRによる体験型ゲーム」は、「Fish Collection Challenge」というタイトルの体感型ゲーム。
VRゴーグルを装着した体験者は、クジラが泳ぐ海中にいるような体験ができます。
このVR空間内では、「サカナのもと」という本ゲーム特有のアイテムが、次々と浮かび上がってきます。
体験者の前には大きな仮想水槽が置かれており、この水槽に「サカナのもと」を投げ入れることで、それが魚へと変わって水槽内を泳いでいきます。
海中の体験だけでなく、ゲーム性を取り入れたのが「Fish Collection Challenge」です。
もう一つの「360度の水中映像」についてご紹介します。
こちらは「サンロクマル水族館」という360度映像で、水槽内を体感することができるものです。
前述の「八景島シーパラダイス」でご紹介した水中ドローンのVR映像と近いですが、こちらはダイバーが水槽内に入って撮影した映像です。
実際に自分が水中で泳いでいるような没入感が得られます。
加えて、この映像コンテンツは「Virtual Ocean Project」のVR映像と同様に、Youtubeで視聴体験することが可能。※5
360度映像に加え、VR技術を活かしたゲーム性。
VR技術をとても効果的に活用した事例といえるでしょう。
※1参考記事:超没入型ギャラリー さかなクンと秘密のラボ in サンシャイン水族館
URL: https://sakanakun-lab.com/
※2参考記事:Virtual Ocean Project
URL: https://www.virtualocean.jp/
※3参考動画:Youtubeチャンネル「Virtual Ocean Project」
URL: https://www.youtube.com/channel/UCYjwDy9ihQzcxuJPbKSTxZg/
※4参考記事: 須磨水族園の体験型VR / 全天球360映像 / フィッシュロボットの事前体験会レポート!360水中体験映像は全編YouTubeで公開
URL: https://robotstart.info/2017/07/14/sumasui-vr.html
※5参考動画:Youtubeチャンネル「須磨浜海浜水族園web」
URL: https://www.youtube.com/channel/UC6E1q14gVbcFXRL_8nwospg
まとめ【鑑賞から体感する水族館へ】
以上が、水族館におけるVR技術の活用事例でした。
“VRと水族館”。結びつかない要素のように感じられますが、ご紹介のように今や水族館にVRの導入は着実に進んでいます。
自宅にいながらでも、水族館にいるかのような体験ができます。現地を訪れても、VRを用いた新たな水族館体験を味わえる。“鑑賞するだけのものだった水族館は、体感する水族館へと変化しています”。
水族館のために作成されたVRコンテンツは、Youtubeで視聴可能な映像も多くあります。
こうしたYoutubeで公開されているVRコンテンツを、鑑賞する方法にも様々なものがあります。
スマホをセットするだけで視聴できるヘッドセットもありますし、本格的なヘッドセットも従来に比べてずっと価格が下がってきています。
昔に比べてVRコンテンツを気軽に視聴できる環境が整ってきています。
VRコンテンツは、利用者が気軽にオンライン(インターネット上)でVR映像を鑑賞することで、オフライン(現地の施設)へと誘い込むことを可能にします。そして、現地のVRコンテンツを体験することで、他の水族館にはない満足感を得られるのではないでしょうか。
だからこそ、ただ視聴するだけではなく、VR映像のような体感するコンテンツは、今後ますます普及していくことでしょう。
本記事でご紹介した水族館の活用事例のように、これまで以上に魅力的なプロモーションが、どの業界においても求められるのではないでしょうか。
本記事がVRコンテンツを用いたプロモーションについて、少しでも参考になれば幸いです。
最後に、広告やプロモーション映像におけるVRの制作・導入は、より高品質で効果的な利用のために、専門家に依頼するのが良いでしょう。
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