広告といえば、何が思い浮かびますでしょうか?
テレビのCM、建物に貼られている広告ポスター、雑誌に掲載されている広告ページ。
他には、電車の中吊り広告やネットのバナー広告、ミュージックビデオも広告の1つでしょう。
上にあげた以外にも、世の中には様々な種類の広告が存在しています。
広告とは言わずもがな、企業が自社の商品やサービスを宣伝すること。
そのために、企業は各種媒体を利用して、日常のあるゆるところに広告を出しています。
前置きが長くなってしまいましたが、この広告媒体に新しい形態が登場しています。
その新たな広告媒体とは、“VR広告”。
文字通りVR技術を用いた広告のことをいいます。
VRといえば、コンピューターによって作られた“仮想空間や360度映像”を体感できる技術です。VRの大きな特徴としては、ゲームや映像など“その世界に入り込んだような没入感”が味わえること。
現在、このVRの特徴を活かした“体感型の広告やプロモーション”が生まれています。
この記事では、企業の広報や広告活動を実施されている方に向けて、
・VR広告とは何か
・VR広告の活用事例
このようなことをご紹介していきます。
※【VRとは】
バーチャル・リアリティ(Virtual Reality)の略で、仮想現実のこと。
コンピューターなどによって、本物のように作られた仮想空間を体感できる技術のことを指す。VR技術によって作られた空間や映像を見るために、HMD(Head Mounted Display)と呼ばれる「頭部に取り付けるゴーグル」のような装置を用いることが主。HMDを装着することで、VR技術によって作り出された仮想現実を体感することが可能。
VR広告とは
まずは“VR広告とは何か“について、有名企業のVRに関する動きと交えて、解説していきます。
繰り返しになりますが、VR広告とは“VR技術を用いた広告”のことをいいます。
後述の「活用事例」でもご紹介しますが、“企業のプロモーションをVRならではのCGや360度映像で表現”できます。
VRの広告映像を作成するだけでなく、“VRゲームや映像の中に企業の広告を表示させる”こともVR広告の1つです。
整理しますと、つまりVR広告とは、
・VR技術を用いて作成された広告用CGや360度映像
・VR映像の中に表示させる広告
主にこの2つのことを指します。
そして、このVR広告は、今後さらに発展していくと予想されます。
それはなぜかというと、かの世界的大企業の「Facebook」の存在です。
Facebookは、新たに“VRによるソーシャルサービス”(以下、ソーシャルVRサービス)を展開しようとしており、ソーシャルVRサービス内での広告は注目されるでしょう。
なぜ、このソーシャルVRサービス内での広告が注目されるのか。
FacebookのこれまでのVRにおける動きとともに、説明していきます。
Facebookは元々、2014年に「Oculus」というVRゴーグルの開発会社を買収していました。買収時点から、現在展開しようとしているソーシャルVRサービスへの構想があったのでしょう。
そこから、次に大きな動きがあったのは2018年でした。
Facebookは2018年に「Facebook Spaces」というソーシャルVRサービスを発表しています。
専用のVRヘッドセットを装着することで、「Facebook Spaces」のVR空間に入ることが可能。VR空間上ではアバターを用いて、最大4人まで同時にコミュニケーションを取ることができます。※1
さらには今年2020年にリリースが発表されている、新たなソーシャルVRサービス「Facebook Horizon」があります。「Facebook Spaces」と同様に、自分のアバターを作成してVR空間を楽しむことができます。※2
「Facebook Spaces」との大きな違いは、人数制限がないことです。
「Facebook Horizon」では人数制限なく、世界中の人達と繋がることができるといわれています。まさに“VRによる新たなSNS”と呼べるのではないでしょうか。
このソーシャルVRサービスが普及すれば、すでに世界規模のSNS「Facebook」と同様に、サービス内での広告が注目されることは必然でしょう。
すでに展開している“SNSのFacebook“内でも、企業の広告はよく見られます。
「Facebook Horizon」でも同様に各企業の広告が打ち出されていくでしょうが、“大きく違うのは立体的かつ体感的な広告であろう”ということです。
世界的大企業である「Facebook」によるソーシャルVRサービスの展開によって、広告も新たな時代に突入していくと考えられます。
※1参考記事:FacebookのVR SNS「Horizon」が3月末にテストを開始か?米メディアが報道
URL:https://vrinside.jp/news/post-176256/
※2参考記事: 【独占取材】フェイスブックは「Horizon」で何を目指すのか?
URL: https://www.moguravr.com/facebook-horizon-3/
VR広告の活用例
ここからは、実際にVR広告の活用事例をご紹介していきます。
前述しましたように、VR広告は主に以下の2つに分けられます。
・VR技術を用いて作成された広告用CGや360度映像
・VR映像の中に表示させる広告
2つの内、“VR映像の中に表示させる広告“は、ここでは割愛します。
Facebookによる“ソーシャルVRサービス”内を含め、これからの発展への期待値が高いためです。
ここでご紹介するのは、もう1つの“VR技術を用いて作成された広告映像”です。
企業の広告やプロモーションとして、VRを用いた映像がすでに作られています。
テレビCMや広告ポスターとは違う“体感型の広告”をご紹介していきます。
1.ジャックダニエル
最初にご紹介するのは、ウィスキーで有名な酒造メーカー「ジャックダニエル」です。
ジャックダニエルは、蒸留所の操業から150周年を記念したプロモーションで、VRを用いた360度映像を公開しました。※3※4
ジャックダニエルの歴史や製法を、360度映像とともに知ることができる内容となっています。本社があるテネシー州の風景や自社製バレルの製造工場、そして蒸留所などゆかりの地を巡っていきます。
このプロモーション映像の面白いところは、“宝探しキャンペーン”も同時に行っていることです。
動画内に隠された“お宝入りの限定バレルを探そう”というキャンペーンなのですが、視点を自由に動かせるVR動画ならではのキャンペーンですね。
VRの360度映像は、視点を動かして様々な角度から映像を見られます。
ですが、ただ見ることができるだけでなく、ジャックダニエルの“宝探し要素”を取り入れた映像は、とても効果的な活用方法でしょう。
※キャンペーンは、2016年9月16日に終了しています。
2.トヨタ自動車
次にご紹介するのは、「トヨタ自動車」のプロモーションにおける活用事例です。
2019年4月、横浜トヨペットの店舗にVRシミュレーターが導入されました。
そのシミュレーターを利用して、トヨタ自動車のVR映像が体感できます。
肝心のVR映像はどのような内容かというと、“トヨタ自動車の先進安全技術”を体感できるというもの。
VRシミュレーターが搭載されたハイエースに乗車。VRヘッドセットを装着すると、仮想空間にて車を運転することができます。シミュレーターとはいえ、本物のハイエースに乗車しているので、ハンドル操作やブレーキの感覚は本物です。
シミュレーターの座席はVR映像と連動しているため、運転感覚やブレーキ時の衝撃をリアルに再現。
“自動ブレーキ”と“踏み間違い時サポートブレーキ“、トヨタ自動車の2つの安全機能を体感できます。
安全機能などは、やはり体感してみないとその効果や必要性は実感しづらいものです。
このトヨタ自動車の活用事例では、実際に運転している感覚とともに安全機能も体感可能。ただ映像を見るよりも、はるかにその広告効果は期待できるでしょう。
3.NIKE
最後にご紹介するのは、「NIKE」のプロモーション映像におけるVR活用事例です。
NIKEの360度映像を用いたプロモーション動画では、“ブラジルの代表選手ネイマール”が活躍しています。
動画は、“ネイマールの活躍を、ネイマールの視点で”見ることができます。
迫りくる相手選手の躍動感、視線を下に向けると世界トッププレイヤーのボールさばきが目の前に。何とも贅沢な視点で、ネイマールの活躍を堪能できます。
サッカーファンなら、ぜひ一度は見てみたい内容になっているのではないでしょうか。
そして、動画の最後には、NIKEのシューズの広告宣伝が空中に浮かび上がります。
この動画は、VRの特徴である没入感や臨場感を強く体感することができます。
加えて、一人称視点に起用した選手が、世界トッププレイヤーなことも相まって、広告効果は非常に大きいでしょう。
ジャックダニエルも、このネイマールの映像もyoutubeで公開されているので、VRヘッドセットがなくともPCやスマホからでも見られます。
もちろん“VRスコープ”などの機器を利用した方が、よりVR映像は楽しめるでしょう。
それでも、
PCやスマホからVR映像を簡単に視聴できることは、VRによるプロモーション映像の普及に寄与しているのではないでしょうか。
※3参考記事:ジャック・ダニエル バレルハント
URL: https://japan.jackdaniels.com/barrelhunt/index.php
※4参考動画: Jack Daniel’s Barrel Hunt – Japan
URL: https://www.youtube.com/watch?v=bgQ4RsK3ygc
※5参考記事: トヨタの先進安全技術をバーチャル体験しよう!
URL: https://www.yokohama-toyopet.co.jp/campaign/vrsimulator
※6参考動画: Nike Hypervenom II – The Neymar Jr. Effect, A Virtual Reality Experience[1]
URL: https://www.youtube.com/watch?v=1TkUWItP5dQ
まとめ【新時代の体感する広告】
ここまで、VR広告の活用事例についてご紹介しました。
Facebookが推進している“ソーシャルVRサービス”により、2020年のVR業界はまた新たなステージに入っていくと予想されます。
現在の広告は、街中やテレビ、電車、ビル内やレストランなど、あらゆるところに存在しています。
こうした広告が、VR空間内で飛び交うのもそう遠くない未来でしょう。
より現実的なVR広告としては、活用事例でもご紹介した“VR技術を用いたプロモーション映像”です。
これまでの広告は、企業の商品やサービスを顧客に知らせるだけのものであり、顧客からすれば情報を得る手段の1つでしかありませんでした。
ですが、ジャックダニエルも、トヨタ自動車も、NIKEも“体感という付加価値“を与えています。もはや、ただ情報を知らせるだけ、見せるだけの広告の時代ではありません。
これからの時代は、“体感する広告”です。
現在はまだまだ、見せるだけの広告がありふれています、
そのような中だからこそ、VRを用いた広告やプロモーションを行うことは、他社との差別化になり、その広告効果は大きく期待できるでしょう。
本記事がVR技術を用いた広告における、参考になりましたら幸いです。
最後に、広告やプロモーションにおけるVRの制作・導入は、より高品質で効果的な利用のために、専門家に依頼するのが良いでしょう。
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